ご挨拶
私の庖丁は親方から教わったものです。
世間の方の中には「刀鍛冶が庖丁なんて作っているのか」と否定的な考えを持っていらっしゃる方もいます。
しかし親方は「刀工になってもはじめのうちは刀が売れることはない。
だから生活出来ず、廃業してしまう刀鍛冶が多い。
庖丁を作ってでも鍛冶屋仕事を続けていくことに意味がある。
」とおっしゃいました。
日本刀に興味があり、且つ、購入されるお客様は確かに少ないと思います。
日本刀の魅力は奥が深く、ひとくちに魅力を伝えるのはなかなか難しい。
所有した人にしか解らないものもあります。
興味を持っていただいても殆どの方は博物館等で眺めて満足してしまう方も多いでしょう。
私の刀鍛冶としての矜持は、たくさんの方々に日本刀の奥深い魅力とその根底にある我々日本人の魂、文化、歴史を感じていただきたい、ということにつきます。
ただ、その為には皆様に刃物をもっと身近に感じていただき興味を持っていただく必要があります。
その一助として庖丁作りや刃物砥ぎの業務は大きな役割を果たすものと思っております。
皆様に刃物を提供することで実りある豊かな生活を送っていただければ鍛冶屋としてこれほどの幸はありません。